不動産投資を本で勉強する限界 一番重要なことが書いてない

不動産投資に関しては、本当にたくさんの本があります。
理論的なものは少数で、他は正直大家さんの武勇伝ですね。
自分は何年で何棟買えたというような購入系武勇伝が多い気もします。

これらの本は有用でもありますが、あまり真剣に受け取るとよくありません。

個人属性や投資方法が分からない

様々な投資本を私も呼んできましたが、殆どの本で最も重要な
前提が記載されていません。

それは、著者の属性と投資スキームです。

まず属性ですが、正直これ次第で融資はかなり変わります。

本業の収入はどのくらいか、資産をどの程度持っているのか、この情報次第で、
初期にどの程度の融資が受けられるかは決まってしまいます。
これを、努力で克服することは困難です。

属性が低い人は融資が出ないということではありません。
属性を超える融資を受けることは難しいということです。

外資系金融勤務かもしれませんし、先祖代々の地主の家系かもしれません。
配偶者の年収が非常に高いのかもしれません。
こうなってくると、その人の投資手法を模倣することはほとんど意味がありません。

というのも、肝心の属性を模倣できないからです。
だれしも、最初は自分の属性で勝負するしかありません。
不動産投資の実績がないので、銀行も属性しか見ようがないのです。

この属性の違いは、融資に大きな違いを生みますので、その情報が開示されていない
投資武勇伝は、あまり参考になりません。
属性の合う人が模倣すれば上手くいくでしょうが、属性の合わない人が模倣すれば
徒労に終わる事でしょう。

また、投資スキームも大きな差を生じさせます。

率直に言ってしまうと、1法人1物件のスキームを使っているか、という点です。
(あと、それに付随するブラックな手法群…)

このスキームを使うと、傍から見ると尋常でないスピードで物件を購入できます。
正直、多くの投資武勇伝はこのスキームを前提としているようにも見受けられます。
いくら積算が出たからといって、そう物件をポンポン買えるとは思えません。

短期間で多数の物件を取得しているなら、属性に優れるか法人スキームを使用したか、
のどちらかしか考えられません。(あるいは両方使ったか)

この重要な前提を記載していない投資本は、結局のところ、著者の投資手法が良かったのか、
属性が良かったのか、裏で用いたスキームが良かったのか、いまいち判断できません。

時期によって採用できる方法が異なる

時期によっても採用できる手法が異なります。

投資本はその時々の情勢に合わせて出版されているのですから、その当時の状況から
変化が生じれば、当然その部分は今は使用できません。

その最たるものは、数年前に出版されたキャッシュフロー重視本でしょう。

当時は確かに探せばキャッシュフローの出る物件があったのかもしれませんが、
今は探してもキャッシュフローだけで元を取る投資は難しいでしょう。

それほどまでに、かつての高利回り物件の値段が上昇してしまいました。

また、積算重視も今はなかなか難しいです。

積算が銀行の担保評価に密接に関係している以上、積算重視の姿勢は重要なのですが、
積算以下の物件を購入しようとか、解体費を土地値から引いた額で購入しようとか、
今ではそのようなことはほとんど不可能です。

それをしようとすると、かなりの地方で物件を購入するしかありません。
地方は、積算が出やすいのです。(つまり、実勢価格以上の積算が出るのです)
その結果、多くの投資家が地方僻地の物件を購入するという荒行を行って
しまったように思えます。

もちろん、積算が出ていると融資が通りやすいのは今も昔も変わりませんが、
かつては首都圏で積算がでる物件を探すという趣旨が、全国どこでも積算が
出る物件を探すにすりかわってしまったように感じます。

自分で動き、自分にあった情報を収集しましょう

投資本には本当に色々なことが書いてあるので、結局何をしたら良いのか悩む
方も多いのではないでしょうか。

多くの投資本で、結論に至る重要な前提を記載せず、枝葉末節である投資手法
のみに着目するので、悩んでしまうのも当然だと思います。
その手法をなぜ自分はできないのだろうか?という疑問を抱くことは当然です。

これは結局、自分で行動し、自分に適した情報を収集することによってしか
その悩みを克服することはできません。

自分で銀行をまわり、自分がどのような銀行から、どの程度の融資を受けられるのか。
その際の積算・担保評価の考え方はどうなるのか。

こういった、自分の状況にベストマッチした情報は、自分で収集するしかありません。
属性は十人十色ですし、銀行も支店や担当者によって言うことが変わります。

不動産投資家は勉強熱心な方が多く、大変好ましいことですが、一方で、
投資本を読み漁るのはほどほどに止め、実際に足を動かすことが重要なのです。

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