売却による資金の加速度的増加 複利効果の利用

不動産を保有する場合、長期保有がいいのか売却が良いのか。
好みの分かれる問題ではありますが、キャッシュ効率の観点で
見てみましょう。

不動産の儲けは純資産 であれば売却しても持っていても同じはず

不動産の本来の儲けは、キャッシュフローではなく純資産です。
このため、元金返済を行っている限り、純資産は拡大し続けるはずです。

売却は、あくまでこの拡大した純資産を現金化するプロセスに過ぎません。

ということは?売却しようが、持っていようが、儲けとしては同じはずです。

純資産として、含み益の形で保有しているか、あるいはその分を現金で保有しているか
その違いでしかありません。

それはその通りです。

不動産単体の儲けの観点で見た場合、売却が特に有利であるということはできません。

ただ、これは一つ事業の重要な点を見逃しています。
それは、現金は再投資によりさらに増やすことができるという点です。

現金は再投資することができる

これは、再投資により複利により現金を増加させるということです。

不動産投資における再投資とは、不動産投資で得た儲けで、さらに不動産を
購入することです。
最初の物件で増やした現金を、さらに次の物件に投入し、さらに増やすのです。

純資産として、含み益として保有している儲けは、再投資することができません。
それもそのはず、含み益はあくまで含み益であって、現金のように次の物件を
購入する事はできません。

物件を持ち続けた場合と、売却後再投資を行った場合で、どの程度投資成果
が異なるかシミュレーションしてみましょう。

前提:1億円RC物件、表面利回り9%、融資1億円金利2%、20年保有後7千万円で売却

表面利回りが高い設定ですので、そこそこ儲かりましたね。

次に、10年後に一旦売却し、再投資後10年で売却した例です。

前提:1億円RC物件、表面利回り9%、融資1億円金利2%、10年保有後8.5千万円で売却
2棟目は頭金として2.2千万円投入を想定

倍増とは言えないまでも、キャッシュフロー累計が33.2百万円→54.8百万円に増加
しています。

これも、当然といえば当然で、頭金として投入した2.2千万円が再投資され、利益を
産んでいますので、トータルのキャッシュフローが増加しているのです。

もちろん、売却で入手した現金を元に、さらに大きな物件をフルローンで購入するという
選択肢もありでしょう。

 

融資残高の減少した物件を共同担保に物件を購入すれば、売却せずとも
改善した純資産を再投資できるようにも思えます。

それは、その通りなのですが、私は共同担保の設定に懐疑的です。

不動産投資を行う物件は、物件単体で完結すべきです。
共同担保の存在は、その共担を設定された物件の処分可能性を大きく毀損します。

ただでさえ流動性の低い不動産なのに、更に売却しにくくすることはないでしょう。

いかなる時でも、残債以上で売却できることこそ、不動産投資における最大の
リスクヘッジです。
共担の設定は、このリスクヘッジを効かなくする点で、好ましくないと考えます。

売却が有利なその他の論点

上記シミュレーションでは織り込んでいませんが、長期保有には以下のような
デメリットもあります。

①物件は老朽化すること
物件は経年により老朽化し、どこかのタイミングで必ず大規模修繕が必要です。
これには、大型RCであれば数千万円要することも想定され、フルローン前提の
キャッシュフローで賄うことは結構難しいです。

このため、修繕前に売却するのも選択肢になります。

②家賃は下がってゆくこと
家賃は、経年によりこれも必ず下がっていきます。
中古物件は下落が穏やかにはなりますが、穏やかになっても下がるのは下がるのです。

リフォームやリノベーションにより家賃の上昇・維持に成功する可能性もありますが、
これも内装や外装に関するある程度大規模な改修工事を必要とし、お金がかかります。
小さな1Rでもリノベすると1部屋80-100万円かかることもあり、正直捻出は結構キツイです。

 

以上のような点から、適当なタイミングで売却し、資産の入替えを行う
ことには、多くのメリットがあります。

積極的に検討するようにすべきでしょう。

© 2024 和田晃輔税理士事務所