税理士の変更は意外と簡単。自分に合った税理士選びを。

税理士をしていると、税理士の切り替えという場によく出くわします。

というのも、当事務所にご相談に来られる方はだいたい既に税理士と
契約を結んでいるので、私が仕事をする前に税理士の切り替えを行う
からです。

また、税理士に対して不満を持っている人は非常に多いという現実
もあります。

一方で、現在の税理士は不満だが、税理士の切り替えには抵抗がある
とおっしゃる方もよくいらっしゃいます。

税理士にがなり立てられている人を見た

私はよくカフェでブログを書くのですが、今日はちょっとストレスがたまりました。

私の隣の席で、税理士が社長と思しき人に法人税申告書を見せ、押印をしていたのですが、
その時の税理士の態度が、なんというか、超早口で超絶上から目線なのです。

社長と思しき人はちょっとご高齢なので、そもそも早口についていけて無い
ですし、よくあのような上から目線で怒らなかったものです。

一応書類の説明もしているのですが、相手に理解できるように説明していないので、
何の説明にもなっていません。

また、申告書を紙で印刷し、それに社長の押印をもらうとか、この税理士は
電子申告をしないのでしょうか?それだけで結構な手間の削減になるのですが。

同じ税理士として、顧客に対する態度があまりにひどく、イライラしてしまいました。

一方で、このような場にはちょくちょく出くわすのですが、そのたびに思います。

なぜさっさと税理士を変更しないのだろうか?と。

このような税理士でも、依頼をする人がいるから態度を変えないのです。

ですが、税理士を変更しようとする人は意外に少ないのです。

税理士を変更しない理由

税理士を変更しない理由としては、だいたい以下の3つでしょう。

  1. 昔から付き合いのある税理士なので交代したいけどできない
  2. 顧客を紹介してもらったりするので切るに切れない
  3. 安くやってもらっているので、コストアップに抵抗がある

1.昔からの付き合いがある

これは、地主さんや昔から事業をされている方でよく聞くものです。

先代から付き合ってきた、相続税の申告をしてもらった、などなど。

たしかに、昔から続く人間関係はなかなか変更しがたいものです。

しかし、意思決定は本来未来を観て行うべきというのが私の持論です。

これから自分がどうしていきたいのか、それを今の税理士はサポート
できるのか、じっくり考えてみましょう。

2.今の税理士から顧客を紹介してもらっている

これは、今事業をしている方に多いです。

不満はあるのだが、いまの事業のなかで税理士の担っている割合が大きい
ケースです。

だいたいは、顧客の紹介です。

いま顧問になっている税理士について、税理士としては不満だが、顧客の
紹介者としては頼りにしているケースですね。

この場合は、正直税理士を変えないほうがいいかもしれません。

ただ、例えば本業の方は今の税理士に任せるけれども、不動産投資は
別の税理士に頼むというように、切り分けは可能です。

特に、不動産投資用に法人を設立した場合は、不動産用の法人は
別の税理士に依頼すれば良いでしょう。

個人ならば切り分けは正直難しいですが、その場合は別の税理士に
コンサルティングを頼むという手もあります。

3.今の税理士に安くやってもらっているので、コストアップに抵抗がある

今は安い税理士もたくさんいます。

それは確かなのですが、本当に安い税理士に頼んで大丈夫でしょうか?

今格安で税理士に頼んでいるという人に、申告書や決算書を見せてもらう
ことは多いのですが、だいたいにおいてひどいものです。

これじゃ追加融資はむすかしいだろうな…というボロボロの決算書はザラです。
そもそも税金計算を間違っている申告書を見ることも結構あります。
税務調査が入ったら問題が吹き出してくるでしょう。

税理士だからきちんとしてくれるだろう。というのは完全に誤りです。

というのも、税理士が格安で仕事を受ける場合、利益を確保するためには、
税理士本人が馬車馬のように働き数をこなすか、あるいは低単価の顧客は
低コストで雇った職員に丸投げし、自分は高単価の顧客に専念するかの
二択しかありません。

税理士本人が馬車馬のように働いている場合、当然顧客1社にかける時間は
少なくなります。
法人で年間15万円以下なら、申告書を正確に作る時間を確保するのも困難でしょう。

低コストで雇った職員に丸投げする場合、その質は自ずから明らかでしょう。
また、税理士事務所の職員は非常に頻繁に転職しますので、今良い職員
が担当していたとしても、そうながくは続かないでしょう。

無論、将来を見据えたコンサルティングなどできるはずがありません。
そんなことをする時間が無いか、そんなことをできる技能が無いかです。

これは、安く税理士に依頼する以上、避けられないのです。
安い報酬しか払わないけど、自分に時間はかけてほしいというのは、
両立しない願望です。

税理士に払うコストより大きな利益を失っていないでしょうか?

税理士の変更は、それほど身構えるようなことではない。

税理士の変更は、手間がかかると思われるかたもいますが、そうでもありません。

税理士を変更するには、以下の手続きが必要です。

  1. 今の税理士に解約を伝える
  2. 税理士に預けている資料を回収する
  3. 新規の税理士と契約する

以上で終わりです。

1.今の税理士に解約を伝える

いま契約している税理士に、解約を伝えましょう。

そのまま、解約したいと伝えれば大丈夫です。

ただ、契約書で解約に制限が加えられているケースもあるので、
注意しましょう。
また、違約金が設定されている場合もあるので、その点も事前に
契約書で確認しましょう。

また、期中であっても問題ありません。

解約したいと言うと、引き止めてくることもあるでしょうが、
サービスの向上が期待できない以上、断固として断りましょう。

2.税理士に預けている資料を回収する

税理士に預けている資料がある場合は、回収しましょう。

  1. 過去の決算書、申告書、固定資産台帳
  2. 過去の総勘定元帳
  3. 過去に提出した税務上の届出書や申請書
  4. 電子申告のIDやパスワード

1、2、3は、通常ご自分で保有されているはずです。

ただ、2や3は税理士から送られてきておらず、保有されていない
ケースも散見されます。税理士の送付漏れです。

稀に税理士を変更すると言うと、この資料の引き渡しを意図的にしようと
しない悪質な税理士もいますが、そのような場合は税理士会に相談しましょう。

3.新規の税理士と契約する

新しい税理士は事前に見つけておきましょう。

できれば、契約書のドラフトを作成し、条件で同意している状況が
望ましいです。

税理士のあまりに頻繁な変更はおすすめしない

税理士は手続き上は結構簡単に変更できますが、とはいいつつもあまりに頻繁に
変更することはおすすめしません。

基本的には税理士とは長期安定的な信頼関係を築きいてゆくことが理想です。

そのためには、最初の税理士選びも慎重に行う必要あります。

また、最初の税理士選びに失敗したなと思ったら、次の税理士選びは
慎重に行いましょう。

税金が計算できればいいや!ということではなく、自分が税理士にどのような
サービスを求めているのか、それを満たしてくれる税理士がいるのか、しっかり
考えていきましょう。

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