シェアハウスや民泊など、手を出して本当に大丈夫ですか?

最近は、普通の居住用物件の利回りが下がってしまったため、やや飛び道具的な
案件をよく見ます。

簡易宿泊所、シェアハウス、マンスリー専用マンション、民泊専用マンション…

共通する点は、利回りが概ね高い(8~9%とか)ということと、あとは運営会社
がセットになっているということでしょうか。

普通は特殊なスキルが要求されるのですが、全てを物件とセットの業者が代行するので、
オーナーは何の手間もありません。というのが謳い文句です。

だいたい、サブリース契約と一緒になっているようにも思います。

一見美味しいようにも思えるのですが、これが美味しく思える方は、一度立ち止まって
以下の点を考えてみることをお勧めいたします。

つまり、運営業者に自分の生殺与奪の権限を与えることをどう考えるか?

ということです。

具体的には、以下の3点です。

最終的にリスクを負担するのは自分であること

いくら上手く運営してくれるといっても、その物件のオーナーは投資家ですし、
その物件の借入金を返済するのは投資家本人です。

運営会社が借入金を肩代わりしてくれることは決してありません。

もちろん、運営会社がうまく経営できているうちは問題ないでしょう。
しかし、その運営会社の経営が傾いた場合、どうなるでしょうか?

いくらサブリースしてあっても、いくら事前に夢のような収支予想を提示されていた
としても、家賃支払いは躊躇なく打ち切られるでしょう。
一方、借入金の返済はまってくれません。
そうなると、結果はもう自己破産しかありません。

つまり、その運営業者が傾けば(あるいは最初から騙す意図があれば)、
投資家も連鎖倒産することになります。

つまり、その運営業者に自分の命運を預けるということです。
それは本当に合理的な選択なのでしょうか?

 

みなさんは、ソフトバンク社債をご存知でしょうか?
低金利下の昨今、2%などの高金利が得られるので、大変人気です。
(個人投資家が殺到して一瞬で売り切れてしまいます)

格付けは、S&PでBB+、ムーディーズでBa1なので、投資不適格債券
という扱いです。

みなさんはこの社債を、1億円借入をして購入できますか?
ソフトバンクが傾けば紙くずになるこの債券を、ソフトバンクが倒産しないと
信じて1億円分購入できるでしょうか?
ソフトバンクと心中する覚悟をもって投資できるでしょうか?

私は怖くて購入できません。
ソフトバンクが将来どうなるかなんて分からない上に、現時点でも投資不適格です。
そのようなもので破産のリスクを負うことはできません。
(小口投資なら検討できますけどね)

 

さて、考えていただきたいのは、シェアハウスや宿泊所の運営会社は、ソフトバンク
よりもはるかに小さい零細企業であるということです。

そのような会社が約束する長期収入を、いったい信用できるでしょうか?

ソフトバンクを信用出来ないのに、そのような零細企業を信用するのは、
いささか合理的な思考ではないように思うのは、私が保守的だからでしょうか?

 

居住用に転用することが難しいことが多いこと

シェアハウス、簡易宿泊所、民泊…これらに特化して作られた建物は、
通常の居住用賃貸物件に変更することが困難です。

ここで、シェアハウスや簡易宿泊所の利回りが高く、居住用物件の利回りが
低い理由を確認してみましょう。

それは、運営の難易度です。

シェアハウスや簡易宿泊所は運営に専門スキルが必要ですので、誰でもできる
ものではありません。
一方、居住用物件の運用は誰でもできます。
管理会社はたくさんありますし、いざとなれば自主管理も十分可能です。

つまり、今の運営業者が傾いたときに、シェアハウスなどの物件はオーナーも
連鎖倒産しますが、居住用物件は、運営業者が傾いても連鎖倒産にはなりません。

つまり、シェアハウスで運営業者が倒産し収入がなくなっても、居住用物件に
変更できるのであれば、その後も問題なく運営していけるということです。

しかし、多くのシェアハウス、簡易宿泊所などは、通常の居住用にすることは
なかなか難しいのです。

このため、今の運営業者と運命をともにすることを避けることが難しいのです。

融資をする銀行が限られていること

居住用物件には多くの銀行が、素人のサラリーマンにも融資しています。

これはなぜでしょうか?

それは、運営の難易度が低いからです。
前述の通り、居住用物件の運営は極論すれば誰でも成果をあげられます。

このため、融資が回収できないリスクが低い業態なのです。

仮に今の保有者が破産したとしても、多くの人が運営できるので、すぐに物件を処分して
融資を回収できます。

 

一方で、シェアハウスなどはだれでも運営できません。
このため、だれでも成果をあげることができないのです。

であれば、誰でも買えません。
銀行が運営できると確信した人しか購入できないのです。

結果、必然的に流動性がほとんどなくなります。

これは、「物件の売却により投資を手仕舞いする」という最後の出口が機能しない
ことを意味します。

売れないのであれば、持ち続けるしかありあせん。
持ち続けても、運営できなければ借入金を返せません。

恐ろしい未来を避けるために

以上のように、シェアハウス、簡易宿泊所、マンスリーマンション、民泊マンション
これらの物件を購入し、破産しないかどうかは、

運営会社が倒産しないこと、
さらに言えば、きちんと家賃を払ってくれる会社かどうか、

という点にかかっているのです。

自分で運営できず、運営できる形態に変更もできず、売却もできない。
こうなると、運営してくれる業者が命運を握る事になります。

まさに、自分の運命を他人に預けているという状況でしょう。

このような状態を避けるためには、最初から手を出さないことです。
また、手を出すならば、

自分で運営できるか、居住用への転用が可能か、
売却が可能か、投資規模はどの程度にするか(小口が望ましい)

というような点を慎重に検討すべきです。

率直に言うと、利回り8~9%でカバーできるリスクではありません。

うまい話には裏があります。くれぐれも気をつけましょう。

税理士、不動産経営アドバイザー
税理士ですが、一都三県にて不動産経営を第2の本業として取り組んでいます。
不動産の最大の経費は税金ですが、税金だけ見ていても上手く行きません。徹底的な数値化と経験に基づき、個人・法人・銀行・追加取得・売却をトータルに判断するお手伝いをしています。

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