法人登記前の支出もしっかり集計 法人の創立費や費用として計上しましょう

法人が登記する前に生じた支出は経費になるのでしょうか?
登記前なので、法人としては影も形もありません。

しかし、一定の要件を満たせば、結構様々な支出を経費にできますので、
意識して領収書は揃えておきましょう。

ここでは、主に法人設立時に使われる創立費と開業費を解説します。

法人の創立費と開業費の定義

まずは、創立費と開業費の定義を確認してみましょう。
先ずは企業会計基準における定義から。

企業会計基準委員会 実務対応報告第19号
繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い

3.会計処理(3)創立費

創立費とは、会社の負担に帰すべき設立費用、例えば、定款及び諸規則作成のための費用、株式募集その他のための広告費、目論見書・株券等の印刷費、創立事務所の賃借料、設立事務に使用する使用人の給料、金融機関の取扱手数料、証券会社の取扱手数料、創立総会に関する費用その他会社設立事務に関する必要な費用、発起人が受ける報酬で定款に記載して創立総会の承認を受けた金額並びに設立登記の登録免許税等をいう。

3会計処理(4)開業費

開業費とは、土地、建物等の賃借料、広告宣伝費、通信交通費、事務用消耗品費、支払利子、使用人の給料、保険料、電気・ガス・水道料等で、会社成立後営業開始時までに支出した開業準備のための費用をいう。

次に、税法上の定義を見てみましょう。

法人税法施行令第14条

創立費

発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税その他法人設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべき費用を言う。

開業費

法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。

イメージとしては、法人登記前の法人登記のための支出が創立費、
法人登記後、実際に事業を開始するまでの費用が開業費となります。

創立費は、法人登記前の支出ですが費用とできるものです。
しかし、登記費用に限られるため、あまり範囲が広くありません。

法人の開業費は、範囲が広いものの、法人登記後の支出であるという点
が重要です。
法人登記後の支出は、別にわざわざ開業費とせずとも、通常の費用として
計上すれば良いのです。

開業費について、特別に支出する費用であるかを逐一解説する向きもありますが、
法人登記完了後に、開業費をわざわざ認識するメリットはあまりありません。
何せもう法人は存在しているので、法人が存在するならその法人の経費にすれば
良いだけの話でしょう。

あえて開業費を使うとすれば、営業開始までやたら時間がかかってしまい、
そのまま決算を組むと赤字になるので、あえて開業費として翌期以降に繰り越す
ような場合でしょうか。

正直、法人では開業費はあまり使いみちがありません。(個人事業では有用です)
よって、法人の場合、開業費に言及することはそれほど意味がないように思います。

重要なのは、法人登記前に支出したものが費用になるか否かですよね。
法人がまだ存在しないタイミングで支出したものが費用になれば、大変有意義です。

しかし、条文を見る限り、法人登記前の支出は、創立費に該当する登記費用しか費用に
できないのではないかと思われます。

創立費、開業費に該当しなくても費用化できるもの

とはいっても、それは実態に合わないということで、
下記の通達で一定の救済が図られているのです。

法人税法基本通達2-6-2

法人の設立期間中に当該設立中の法人について生じた損益は、当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することができるものとする。ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の損益又は当該法人が個人事業を引き継いで設立されたものである場合における当該事業から生じた損益については、この限りでない。

ここでは、法人の設立期間中の支出は、特例的に設立後第1期の経費
とすべきことがわかります。

法人の設立期間中は、法人登記前なので、法人はまだこの世にありません。
しかし、実際問題として法人登記前でも必要な支出というのはあるので、
そのような支出は第1期の費用として良いということです。

ここでは、開業費のように「特別に支出した」などという要件が付加されていません。
このため、その設立予定の法人のために必要な支出なのであれば、第1期の費用に
できるものと考えられます。

ただ、あくまで法人の設立期間中の支出が該当します。
法人登記のあまりに以前の支出だと難しいので注意しましょう。

創立費とこの特例は何が違うかというと、経費にできるタイミングが違います。

創立費は、第1期に経費に経費にすることもできますが、第2期以降に経費に
することも可能です。
一方、この特例に該当する支出は、第1期の経費にしなければなりません。

 

 

創立費は任意で費用にできる それ意外は第1期の費用

以上からわかることをまとめると、以下のようになります。

法人登記前に支出した費用は

①法人登記費用は創立費となるので好きなタイミングで費用とする
②その他の費用は、設立期間中のものに限り通達2-6-2により第1期の費用とする

 

せっかく支出したものがあるのであれば、最大限経費にできるようにしていきましょう。

このあたりの「創立費」、「開業費」、「通達で認められる特例」を混同している
解説も多く注意が必要です。

税理士、不動産経営アドバイザー
税理士ですが、一都三県にて不動産経営を第2の本業として取り組んでいます。
不動産の最大の経費は税金ですが、税金だけ見ていても上手く行きません。徹底的な数値化と経験に基づき、個人・法人・銀行・追加取得・売却をトータルに判断するお手伝いをしています。

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