不動産投資における頭金の意味

不動産投資では、物件購入時に頭金を求められることもあります。

この場合、頭金にはどのような意義があり、どのような効果を求められているのでしょうか?

今回は頭金を考えてみたいと思います。

頭金って、出しても出さなくても同じじゃないの?

頭金に何の意味があるのか?とお感じの方も多いのではないでしょうか。

これは、非常に的を得た疑問であると思います。

なぜなら、頭金として物件に投入するか、手元現金として保有しておくかは、
本来同じ効果をもたらすはずです。

頭金を入れれば、借入金の返済額が減り、毎月の手取り額が増加しますが、
これは結局のところ最初に投下した頭金を分割して回収しているに過ぎません。

事例で考えてみましょう。

1億円のRCを借入1億円のフルローンと、借入8千万円頭金2千万円で購入した
場合のCFはどうなるでしょうか。(表面利回り9%、築25年、金利2%30年、)

頭金2割の場合と頭金無しの場合で、10年間の累計キャシュフローにほとんど
違いはありません。

頭金を投下したほうが、毎年のキャッシュフローは増加していますが、これはあくまで
初年度に大幅にキャッシュアウトした分の回収でしかないのです。

頭金を入れることで借入額が減少し、そのため金利負担は減少しますが、金利が低い
昨今の状況下では、投資成果に大きな影響を及ぼすものではありません。

むしろ、頭金がなければ、小さな投下資本からキャッシュフローを得ること
ができるので、投資効率は劇的に改善します。

このように、頭金が投資成果に大きな影響を及ぼさない、むしろ投資効率を
悪化させるのであれば、いったい何の意味があるのでしょうか?

銀行が頭金を求めるのは、単なる理解力不足なのでしょうか?

頭金のメリット 財務状態の改善

では、頭金の意義とは何なのでしょうか。

それは、「事業単独で見た場合に財務状態が良くなる」という点につきます。

あくまで事業単独で見た場合です。
個人も合わせてキャッシュフローを考えるならば、
たしかに意味はありません。

ただ、事業としての財務状態はよくなるのです。

この点は、融資において非常に重要です。

通常、収益物件の売買価格は銀行の担保評価額を上回ります。
このため、その担保評価額と売買価格の差額を無視して売買価格
まで借入をする(フルローン)と、あっという間に債務超過の完成です。

投資家から見た場合、資産を現金として持っているか、頭金として
物件に投入しているかに本質的な違いはありません。
むしろ手元に現金をおいておきたいくらいです。
投資効率は高まりますし、突発的な出費にも対応できます。

しかし、銀行は実はそうは見ないのです。

担保評価額を超える借入も、年収や保有資産などの属性が良ければ、
債務超過を個人の属性でカバーして受けることができます。
しかし、債務超過状態をそのままに、物件を2棟3棟と購入していくと、
いつか債務超過を属性でカバーできなくなるタイミングが来ます。

この結果、頭金を入れずに融資を引くことは、財務状態の悪化を引き起こし、
いつか限界に行き着くのです。

財務状態の悪化が銀行の許容範囲を超える時、融資はストップします。
属性が相当良い人でも、通常2~3億円以上の融資が受けられなく
なってしまうのは、この財務状態の悪化が原因です。

一方で、担保評価額と売買価格との差額を頭金により補填し、
借入額を担保評価額と同じに維持した場合、銀行から見て債務超過
にはなりません。

このため、事業が順調であれば、いつでも追加融資を受けることができる
という状態になるわけです。

もちろん、頭金とせず、そのまま現金で持っておけば全体として
債務超過にならないという話ではあります。

しかし、実際問題として、現金はいつでも使い切ることができます。
会社の運転資金ではなく、個人の余剰資金であればおさらです。
融資実行日の翌日に高級外車になってしまうかもしれません。

このため、銀行はいまいち手元現金を信用していない印象があります。

継続して融資を受け続けるためには

つまり、頭金の意義は、継続して融資を受けることができるようになる
ということになります。

属性でカバーできる範囲内で物件を購入すれば良いのであれば、
頭金にさしたる意義を見出せません。
それ以上融資を受けないのであれば、財務状態を良くするメリットは
あまりありません。

事業として評価を受け、融資を継続的に受けるためには、
頭金は債務超過を改善するため非常に重要です。

もちろん、銀行の担保評価よりも売買価格の方が低い場合などは、
フルローンでも債務超過になりませんので、頭金が不要である
場合もあるでしょう。

しかし、通常は頭金がなければ継続して融資を受けることは
難しいのではないでしょうか。

事業として、会社の決算書で継続して融資を受けていく、そのために
頭金は重要な役割を果たすのです。

税理士、不動産経営アドバイザー
税理士ですが、一都三県にて不動産経営を第2の本業として取り組んでいます。
不動産の最大の経費は税金ですが、税金だけ見ていても上手く行きません。徹底的な数値化と経験に基づき、個人・法人・銀行・追加取得・売却をトータルに判断するお手伝いをしています。

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