不動産を買った最初の年が一番重要である理由

不動産投資で物件を購入した場合、個人ならその後の最初の確定申告が、
法人なら最初の決算が、最も重要です。

この最初の申告において、後で修正できない多くの処理が行われます。

それが、以下の4点です。

  1. 減価償却期間の設定
  2. 土地建物金額の設定
  3. 初年度黒字の達成
  4. 消費税還付

税理士からこれらのことを提案してくれることは少ないので、
投資家自身で注意していきましょう。

減価償却期間の設定

不動産を購入し、その土地建物のうち建物は減価償却することになります。

この減価償却を何年でするかというのが減価償却期間です。

この設定は、物件を購入した後の最初の確定申告のタイミングでしか
できないということになっています。
そして、最初の確定申告で設定した減価償却期間は、以後変更できません。
(変更を否認された多くの判例があります)

これは、以下のようなケースで悲惨な結果をもたらしかねません。

  1. 築古木造物件を保有している場合
  2. RC造物件で、建物附属設備を計上している場合

それぞれ見ていきましょう。

1.築古木造物件を保有している場合

通常、中古物件の減価償却は以下の算式により計算します。

築年数が法定耐用年数内:法定耐用年数-築年数+築年数×20%
築年数が法定耐用年数超:法定耐用年数×20%

では、例えば築25年の木造アパートは同計算するかというと、
木造アパートの法定耐用年数は22年ですから、築25年は
法定耐用年数超過ですね。

ですので、22年×20%=4年

というわけです。

では、本当に4年間で減価償却しても良いのでしょうか?

以下の記事でも書きましたが、デッドクロスとは元金返済と
減価償却費のバランスが崩れた状態を言います。

では、木造アパートの4年間の減価償却が終わった後に何が
起きるかと言うと、かなりキツいデッドクロスになるでしょう。

元金返済が通常通りある一方で、減価償却費が無くなってしまいます。
こうなると、そもそもバランス云々という話ではないですよね。

2.RC造物件で、建物付属設備を計上している場合

RC物件は、建物の法定耐用年数が47年ですので、木造アパートの
ような事態にはなりにくいです。

例え築40年のRCだったとしても、その償却期間は通常
47-40+40×20%で15年ですよね。

この15年経過後は大変ですが、直近でどうのこうのなるものでも
ありません。

ただ、RCで困ったことになるケースが一つだけあります。

それは、建物附属設備を大きく計上していた場合です。

というのも、不動産賃貸業で見かける建物附属設備は、法定耐用年数
が概ね15年のものが多いです。

法定耐用年数が15年ということになると、築15年以降では、建物附属設備
部分の償却年数は3年ということになります。

この3年での償却がキツすぎると、RC物件でも4年目以降はデッドクロス
になってしまうでしょう。

元金返済と減価償却費のバランスが大きく崩れることになるためです。

このため、建物附属設備の金額と、償却年数には注意が必要です。
これも、初年度で設定した後の修正は大変むずかしいです。

土地建物金額の設定

不動産投資では、通常土地と建物を同時に購入することになります。

この土地と建物にどのような金額をつけるかが、土地建物金額の設定です。
例えば、1億円の物件を購入したのであれば、土地6千万円、建物4千万円
などの金額を決定します。

この点がなぜ重要なのかと言うと、建物の金額は今後の減価償却費に
関わるからです。
もっと率直に言うと、建物が大きい方が、減価償却費が大きくなるのです。

土地建物金額は以下の記事で紹介していますので、ご参照ください。

デッドクロスの定義は、元金返済と減価償却費のバランスが崩れること
ですので、その対応として、建物を大きくして置くことは有用です。

というのも、減価償却費が大きくなったほうが、元金返済とのバランスを
良好に維持できるためです。

かように重要な土地建物金額の決定ですが、これは、通常売買契約書の
締結時か、最初の確定申告のタイミングでしか行なえません。
そして、これも一度決定した土地建物の金額は後で変更することは
できないのです。

初年度黒字の達成

不動産投資において、あまり意識されていないのが、不動産を購入した
その年の決算を黒字にすることです。

不動産を購入した場合、不動産取得税や登録免許前など様々な経費を
支払い、そのために最初の決算では赤字になってしまっているケースを
よく見ます。

ここで問題になるのが、追加融資を考えた時です。

日本政策金融公庫や一部の信用金庫などは、融資にあたって3期連続黒字を
マスト条件にしているところがあります。

このような場合、例え取得の経費によるものであっても、赤字が嫌がられる
ケースは多いのです。逆に、初年度黒字なら好印象です。

この、購入最初の年に黒字にできるかというと、全く問題なくできるのですが、
多くの方がそこを意識していません。

この部分も、あとで変更することは基本的にできませんので、最初の決算で
注意しておく必要があります。

初年度黒字にする具体的な方法は、次の記事をご参照ください。

消費税還付の対応

消費税還付は、通常一番最初の決算で対応しなければすることはできません。

消費税還付が可能なのに、していないとなると、大変もったいないことです。
一方で、できるのに提案をされていないからしなかったという方が結構
いるのも事実です。

最初しかできないことはたくさんある。

以上のように、不動産を購入した年にしかできないが、その後長期間
に渡って影響を及ぼすことは実に多いのです。

しかし、多くの税理士は適切な納税を自分の職責と考えていますので、
不動産経営の将来を見据えた判断を今してくれません。

このため、これらのことは、投資家自身が理解し、税理士にオーダー
していくことが必要になってきます。

「確定申告は税理士に丸投げ」にして悔しい思いをしている投資家は
多いのです。

是非、これらの点を意識していきましょう。

税理士、不動産経営アドバイザー
税理士ですが、一都三県にて不動産経営を第2の本業として取り組んでいます。
不動産の最大の経費は税金ですが、税金だけ見ていても上手く行きません。徹底的な数値化と経験に基づき、個人・法人・銀行・追加取得・売却をトータルに判断するお手伝いをしています。

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