地方物件は固定資産税が高い?その理由とは

「地方の物件は固定資産税が高い」というのを聞いたことはないでしょうか?

これは、私自身も確かに高いと感じることがあります。

東京都内の物件の方が、地方の同じ価格帯の物件よりも固定資産税は安いです。
特に、RC造の物件になるとこの傾向は顕著ですね。

本来土地の価値は地方の方が低いはずだし、なぜこのようなことが発生する
のか少し考えてみましょう。

固定資産税の計算方法

ここで、固定資産税の計算方法を確認しておきましょう。

固定資産税は、原則として以下の算式で計算します。

固定資産税評価額×1.4%(別途都市計画税が0.3%あり)

非常に簡単な計算方法ですよね。

地方も都心もこの1.4%は共通ですので、固定資産税評価額が
固定資産税を決定するキーとなります。

この固定資産税評価額の決定方法は、土地と建物ごとに
以下のようになっています。

1.土地:実勢価格の70%となるよう調整

このように、土地の実勢価格に基本的には連動するようになっています。

本当に地方に行くと、本当の販売事例が固定資産税評価額を下回ること
は正直良く起こりますが、基本的には固定資産税は土地値に連動します。

というわけで、通常は都心の土地の方が固定資産税は高くなるはずです。

2.建物:再建築価格

建物の固定資産税評価額は、一種の再建築価格です。
建物の積算といってもいいかもしれません。

固定資産税では、評点法などといったりします。

建物の設備には、非常に細かく点数が定められています。
例えば、陸屋根のシート防水なら8,620点、外壁がタイルなら
13,230点といった具合です。

建物が完成すると、県税事務所の職員が来て建物の中を見たり、
また設計書を見たりして、どのような構造で、どのような設備が
設置されているのか細かく確認し、それぞれの評点を計算します。

この点数を合計して、固定資産税評価額を算出するという手順を
取るのですが、イメージとしては積算価格に非常に近いですね。

建物の固定資産税評価額=建物の建築価格-経年による減価

となるわけです。積算の計算そのものですね。

このように、建物の点数を計算するのですが、建物の積算が
地方と都心で変わらないように、建物の評点も地方と都心で
変わりません。

とりわけ、固定資産税の評点は、総務省が定めた固定資産税評価基準
により決定されますので、全国一律です。

同じような面積で同じような設備であれば、同じような評点となります。

このため、建物の規模感や設備がイコールであれば、地方も都心も
固定資産税評価額は変わらないのです。

地方の物件の固定資産税が高いわけ

ここまで見てくると、土地の固定資産税評価額は都心の方が高いし、
建物の固定資産税評価額が地方も都心も同じだとすれば、なぜ
地方の方が固定資産税が高いのか?という話になります。

これには、2つの理由がありそうです。

土地には小規模住宅用地の減額の特例が適用される

土地の固定資産税を計算する際に一つの特例が適用されます。

それは、小規模住宅用地の減額の特例です。

これは、土地の上に住宅やアパート・マンションなどの賃貸住宅が
建っている場合、200㎡×戸数で計算する面積まで、固定資産税の
金額を6分の1(都市計画税は3分の1)にする規定です。
(正確には、固定資産税評価額から算出される課税標準額を6分の1にする)

すると、土地に関してのみは、こんな計算式になります。

土地の固定資産税評価額÷6×1.4%

こうなると、土地が2千万円の土地でも46,000円、土地が2百万円の土地
なら4,600円になります。
正直、この程度の差であれば同じようなものですよね。

確かに税額は10倍違いますが、そもそもの絶対額が小さくなっているので、
税額の違いに大きな負担感が出ません。

また、適用される面積も10戸でも200㎡×10戸=2,000㎡となり、
普通のアパマン用地であればまず土地の全体が適用対象となります。

ですので、土地値の違いによる固定資産税の相違というのは、かなりの程度
軽減されてしまうのです。

同じ金額でも地方物件の方が建物が大規模

次は、建物です。

建物の固定資産税評価額は、積算ですので、同じ規模の建物であれば
同じような固定資産税評価額となります。

一方で、ここでもまた地方の土地値が低い点が効いてきます。

例えば、2億円のRCマンションを購入するケースを考えてみましょう。

都内であれば、せいぜい3階建ての低層マンションで、戸数も10戸弱程度でしょう。
土地が高いので、2億円といっても大きな建物は購入できません。

一方で、土地値の低い地方で2億円出すとどうなるでしょうか。
おそらく、5階建てで30戸程度入っているようなマンションさえ買えてしまいます。
もしかしたらエレベーターもついているかもしれません。

つまり、同じ価格帯でも地方の方が大規模な建物を購入できるというわけです。

地方物件の土地値が低いため、同じ価格帯なら建物が大きくなるとうのは当然といえば
当然でしょう。

先程述べたように、建物の固定資産税は積算価格に基づき計算されるので、
建物の規模が大きくなればその方が固定資産税が高いのです。

都心と地方で、同じ価格帯でも、内容を見てみると建物の規模感が全く違う
ということですね。

また、建物には先程の土地のような軽減措置が一切ありませんので、
その規模の違いがダイレクトに固定資産税額に反映されてしまうのです。

このような理由もあって、地方物件は利回りが高い

このような、建物に由来する経費については、概ね地方と都心で変わりません。

固定資産税はこれまで説明してきたように、建物規模で決まってきますが、
その他の経費についても概ね同じことが言えます。

例えば定期清掃、植栽剪定、エレベーターメンテナンスなどのBM経費は、
固定資産税と同じく建物の規模によってきます。

結果、大規模な建物を購入できる地方の方が経費は高くなりがちです。

また、部屋の原状回復についても、同じ面積であれば地方でも都心でも同じ
ような金額がかかりますが、地方の方が戸数の多い大規模な建物を購入
できるので、原状回復経費もかさみがちです。

30戸もあると、1ヶ月に1戸は退去しているイメージがありますね。

また、土地値が安く、広大な土地とセットで購入するケースもありえますが、
この場合は、公園のような植栽があったり、大きな木が何本もあったりします。

これを維持するのも結構な経費がかかりますが、都心の物件は土地が大きくても
100坪程度ですから、このような経費は通常発生しません。
高所作業が必要になるような立木も普通は無いでしょう。

以上のように考えてくると、地方の物件の利回りが高めであるのも、一種当然
といえます。
そうでなければ、都心に比べ高くなりがちな経費を回収することができません。

地方の物件を見るのであれば、空室や人口減少のリスクだけではなく、このような
ポイントも是非考えておきたいですね。

税理士、不動産経営アドバイザー
税理士ですが、一都三県にて不動産経営を第2の本業として取り組んでいます。
不動産の最大の経費は税金ですが、税金だけ見ていても上手く行きません。徹底的な数値化と経験に基づき、個人・法人・銀行・追加取得・売却をトータルに判断するお手伝いをしています。

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