新築の区分マンションへの投資にメリットってあるの?

多くの不動産投資家と面談をしていますが、新築の区分マンションに
投資している方をよく見かけます。

ここでいう区分マンションは、投資用のワンルームマンションを想定しています。

購入された方は、区分マンション投資に感じたメリットとしては、「節税になる」
「資産が残る」
ということに魅力を感じて購入に踏み切っていることが多いです。

率直に言うと、区分マンションは全く節税になりません。
そもそも、キャッシュフローが常時マイナスなので、投資対象として
不適格とも言えます。

また、資産が残るという点も非常に怪しいです。

以下でその理由を検証してみましょう。

新築の区分マンションは節税になるのか?

新築の区分マンションが節税になるというのは、多くの方がおっしゃいますが、
それは本当なのでしょうか?

シミュレーションで考えてみましょう。

保有期間中に節税になっているか?

区分マンションを購入すれば節税になるというのは、どのような状況を
指すのでしょうか?
10年間のシミュレーションにより確認してみましょう。

表面利回4%で28百万円の新築区分をフルローン1.7%35年で購入。
固都税4万円/年、管理費・修繕積立14.7万円/年

もう一見して明らかなので、解説も不要かもしれませんね。

税金支払前のキャッシュフローは毎年赤字です。つまり、毎年キャッシュアウトなのです。

では、肝心の節税効果はどうでしょうか?

では、最後の行の税引き後キャッシュフローを見てみると、これも毎年赤字です

唯一、1年目のみ所得税、住民税が399千円の還付になっていますね。
ただ、これは購入諸経費を支払っているからに過ぎません。

そもそも、1年目は税前キャッシュフローが△1,529千円なのですから、
399千円還付を受けたところで大した意味はないでしょう。
焼け石に水としか言えません。

さらに、2年目からは普通に税金が生じています。

2年目を見てください。

税前キャッシュフローが△129千円なのに、税金が△24千円生じます。
結果、キャッシュフローがマイナスなのに納税まで生じるのです。
毎月口座がマイナスで、かつ納税でマイナスになるのです。

このように、新築の区分マンションはどう考えても節税にはなっていませんね。

ちなみに、このシミュレーションには空室による損失と、築年数の経過による家賃の
下落を織り込んでいないので、実際の運用成績はもっと悪くなるでしょう。

経費で節税する?

このような点をどうも新築区分の営業マンも認識しているようですね。

このため、「不動産を買えば経費で節税できる」という営業トークを
しているようですね。

つまり、プライベートの飲食費などを経費にして節税しましょうと
いうことです。

これには、2つ問題があります。

  1. プライベートの支出を経費にすることは、脱税である
  2. 経費で赤字になっている場合、追加融資は難しい

まず、プライベートの支出を経費にすることは、脱税です。

友達との飲み会を交際費にすることが多いですね。

みんなやっているとか、営業マンに勧められたとか言われますが、
脱税であることに変わりありません。

税務調査が行われれば、確実に否認されますし、追徴課税を支払う
必要があるでしょう。

またこのようなプライベートの経費で赤字になっている確定申告書
を作っていると、銀行から追加融資を受けることはまず不可能です。

銀行は過去の申告書から、その人を判断します。

過去に経費で赤字になったなら、今後もそうならない保証がありません。
こうなると、融資しても経費で浪費するのではないか?と銀行が考える
のも避けられないことでしょう。

ワンルーム販売業者が確定申告書まで作るという無茶苦茶

このような業者から区分マンションを購入した人は、確定申告書まで
業者に作ってもらっている人が結構いるようです。
(明確な税理士法違反といえます)

このため、過去の確定申告書の内容を質問しても答えられません。

オーナーは自分の確定申告書で何をどのように処理しているのか全く知らないのです。

ここで問題になるのが、こういう業者はテキトーに経費を計上するということです。

というのも、先程来記載している通り、ワンルームマンションは節税を売りに
しているにもかかわらず、全く節税になりません。

このため、おそらくオーナーからクレームが入ることを回避すべくテキトーに
経費を計上し、節税できているかのような申告書を作り上げてしまうのです。

まさに脱税以外の何物でもありませんが、これが露見したときに責任を取るのは、
テキトーな申告書を作った業者ではなくオーナーである点はよく理解してください。

また、そのような確定申告書を作成している人は、通常の銀行から追加で融資を
受けることが困難です。

ごく当たり前な話ではありますが、不動産賃貸業を行い確定申告まで提出しているのに、
その確定申告書の内容を一切答えることができないのです。

税理士印のある申告書であれば、税理士に全て任せていますで済む話ですが、自分で作成
して提出したという形式になっているのに、一切説明ができないのです。

これほど怪しい事はありませんので、通常、銀行からの印象は極めて悪いです。

35年間ローンを払えば資産になる?

最近は、このように区分マンションの収支がプラスにならないという
ことを営業マンも理解しているようで、「ローン完済後に資産が残ります」
というような営業トークを使っていることが多いです。

なんだか資産と言われればそのような気もしますが、本当に資産でしょうか?

ローン完済後にどの程度の資産価値があるか?

ローン完済後、つまり35年後に、その区分マンションにどの程度の価値が
あるか想像できるでしょうか?

区分マンションには土地がありません。

もちろん、概念としての土地の敷地権はありますが、自分で自由に使える
土地としては1㎡もありません。

このため、区分マンションの資産価値とは、建物の資産価値なのです。

単なるコンクリートの塊として価値があるのではなく、その建物が
しっかり維持管理され、人が住める状態を維持できて初めて価値がある
のです。

現状、築は新しいので入居も付きやすいでしょうが、だいたい築15年も
すれば内部の設備は陳腐化してきます。

また、間取りの人気も変わってくるので、ある時人気の間取りや設備も、
時間が建てば全く人気が無くなったりします。
今だと3点ユニットバスがその典型ですね。

これが何に影響するかと言うと、家賃が下がるのです。

区分マンションは投資商品ですので、売買価格は収益還元法、
つまり年間家賃収入÷利回りで計算されます。

家賃が下がるということは、年間家賃収入が下がるので、物件価格の
下落に直結します。

いくら中古物件が頑張ったところで、新築物件には勝てません。
結果、かつての新築物件の価値は下落してしまうのです。

ここで注意が必要な点が、繰り返しになりますが、区分マンションには
土地がないという点です。

土地が無いため、建物の利用価値が下がればダイレクトに物件価格が
下がってしまうのです。

このため、建物の大規模修繕は避けて通れないのですが、その点には
以下の問題が待っています。

大規模修繕を2回程度するが、修繕積立金は大丈夫?

いくら鉄筋コンクリート造の物件とはいっても、定期的に大規模修繕を行う
必要があります。

また、城東地区で乱立しているような高層のマンションにはエレベータや
オートロックがついていますが、これの更新にも費用が必要です。

これらの修繕に当てるために、毎月オーナーは修繕積立金を支払うことに
なっているのですが、この修繕積立金が問題なのです。

つまり、修繕に必要な修繕積立金を積み立てれていないケースが圧倒的に
多いのです。

なぜこのようなことになるのでしょうか?

新築区分マンションを販売するときに、修繕積立金が大きいと売れにくいからです。

素人のオーナーには、そのマンションが将来どの程度の大規模修繕を行う必要
があり、そのためにはこれだけ修繕積立金が必要だというような計算は
できません。

結果、修繕積立金を最小限まで圧縮し、目先の投資利回りを良くしてしますのです。

もちろん、将来への先送りにほかなりません。

保有期間中に修繕積立金が上昇するか、実際に大規模修繕を行う際に一括で
請求されるかのどちらかになります

もちろん、修繕積立金が上昇したなら物件の価格が下がります。
利回りが下がるということは、物件価格が下がるということなのです。

退職金で損切りという悲惨なケースも

不動産会社を回っていると、区分マンションの話になることもよくあります。

最近聞いた話としては、区分マンションの損切りに退職金を充当するケース
が見られるようになってきたようですね。

サラリーマンとして働いてきて、その信用で購入した区分マンション。

毎月の持ち出しにも耐えてきましたが、流石に定年後にまで毎月の持ち出し
には耐えられないのでしょう。

40歳で購入したとして、65歳時点ではまだ25年しか経っていませんね。
あと10年、毎月のマイナスに耐える必要があると言われると…

長年の労働の対価である退職金を、その損切りに充てるという選択を
せざるを得なくなるのもわかります。

資産形成のために手を出してしまうと、その結果は悲惨なものです。

節税にもならないし、資産にもならない

このように、新築の区分マンションを保有したところで、節税にもなりませんし、
将来的な資産にもなりません。

このため、基本的には保有すべきでないアセットといえます。

しかし、新築の区分マンションが今日も売れていることは事実です。

それは、それだけ販売会社の営業マンがすごいということでしょう。
彼らは若くして年収1千万円を有に超えたりします。

海千山千の世界でのし上がっただけあって、話には魅力もありますし、
面白いです。
また、人柄は良いことが多いとも感じます。

しかし、そのことと、投資対象の優劣の判断は全く関係がありません。

なお、彼らの年収も、販売している区分マンションに上乗せされていることを
決して忘れてはなりません。

区分マンションの営業電話は、即座に切ることをおすすめします。

 

税理士、不動産経営アドバイザー
税理士ですが、一都三県にて不動産経営を第2の本業として取り組んでいます。
不動産の最大の経費は税金ですが、税金だけ見ていても上手く行きません。徹底的な数値化と経験に基づき、個人・法人・銀行・追加取得・売却をトータルに判断するお手伝いをしています。

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