銀行評価が出ているので信用を毀損しない物件です!の本当の意味

不動産会社からの営業メールを見ていると、以下のような営業トークを
よく見ます。曰く、

「銀行評価が出ています!よって信用毀損しないので、買い進める上でも有利!」

銀行の評価書がついていたりして、なんだかそれらしく感じるのですが、
本当のところどういうことなのか考えてみようと思います。

銀行評価とは、銀行毎に異なる

不動産を銀行がどのように評価するかというのは、銀行ごとに結構異なります。

土地建物の積算を重視する銀行、収益還元法で評価する銀行、土地値を重視
して評価する銀行…など本当にいろいろです。

多くの地方銀行は、積算評価を重視する傾向にあります。

また、一部の都市銀行は、資産家相手に収益還元法で物件を評価していますが、
一般顧客相手には積算で評価したりします。

このように、本人の属性や資産状況によっても物件の評価というのは異なるものです。

では、銀行ごとに評価方法が異なるとすれば、何を基準にして信用毀損か否かを
考えればよいのでしょうか?

他の銀行と明らかに評価方法が異なる場合

このように、銀行によって評価方法が異なるということは、ある銀行から
見たら信用は既存していないが、ある銀行から見たら信用毀損であるという
事態が生じうるということです。

では、何を平仄にして考えればよいのでしょうか?

このときに重要なポイントは、他の銀行と明らかに異なる融資基準を導入
しているのかという点です。

例えば、一部の地銀やノンバンクは、築古の木造アパートにも法定耐用年数
を大幅に超過した融資を行います。

この場合、その融資をする銀行にとっては確かに信用毀損ではないのですが、
他の銀行にとってはどうでしょうか?

経験上、多くの銀行は保有物件の収支が残存耐用年数内で回るかどうかを
重視しているように感じます。

このため、残存耐用年数を大幅に超過するような融資を受けた場合、
信用毀損の状態になる可能性は高いといえます。

もちろん、法定耐用年数を重視しない銀行であれば、信用毀損にならない
ということは考えられます。

しかし、法定耐用年数を重視しない銀行は多くありませんし、その銀行から
借り続けることはできません。

このような、耐用年数超過の融資を行う銀行は、金利が高いか、本業の属性
を重要視しているため、融資を受け続けるということが難しいのです。

では、法定耐用年数を無視して買い続け、いつか上限が来たとすると、
どうなるでしょうか?

他の銀行に行ったところで、実はあまり評価してもらえない可能性が高いです。

というのも、法定耐用年数超過の融資は、だいたいの銀行で信用毀損だからです。

結果として、法定耐用年数超過で融資を受けた物件を整理してからでないと、
他の銀行での新規取り組みはなかなか難しいでしょう。

このように、他の銀行で通らないような融資が別の銀行で通る場合は、実は
注意が必要なのです。
他の銀行ではできない融資を、特殊な理屈付けを行って通しているのかも
しれません。

確かに、融資をしてくれた銀行にとっては、信用毀損ではないのでしょう。
しかし、他の銀行が見れば信用毀損なのです。

この評価の乖離は、他の銀行に融資を受けたいときに受けられないという形で
表面化することになります。

他の銀行が動見るか?という視点は、信用毀損を考える上で非常に重要です。

信用毀損にならないから正しい投資ではない

このように、信用毀損になるかならないかは、他の銀行がどう見るかという
視点での検討が欠かせません。

一方で、信用毀損にならないから正しい投資だということでもありません。

信用毀損にならないためには、積算が出ていて残存耐用年数も長いという
ような物件になりがちです。

そのような物件を求めて、地方の大規模RCが飛ぶように売れていましたし、
最近は建売のアパートもよく売れているようです。

とにかく、銀行は土地が広くて新しいものを好むからです。

では、このような銀行評価の高い物件を購入した投資家が安泰かというと、
全くそうではありません。

銀行の積算評価や、法定耐用年数などというものは、その物件の運営面、
つまり賃貸付けと何の関係もありません。

別に耐用年数超過でも立地と家賃が適切なら入居は付きます。

逆に、築浅で積算も出るなどという物件は、銀行評価が出るだけに多くの
人が欲しがるので、価格が高くなりがちです。

また、建売のアパートなど販売業者の利益がこれでもかと上乗せされている
ので、普通に買ってしまうとなかなか儲かるものでもありません。

入り口でいかに安く物件を仕入れるかという点が重要な不動産投資において、
銀行評価が出るというだけで物件を探すのは正しい行動とは言えません。

正しい知識を持って営業トークを聞こう

営業マンは、物件を売るために働いています。

皆さんが不動産投資で成功することが仕事ではありません。

その物件を購入して、不動産投資が成功するか検討するのは、皆さん
投資家の職責なのです。

別に、営業マンが嘘つきだと言いたいわけではありません。

営業マンと投資家では、背負っている目的、仕事の内容が異なるのですから、
そのように認識して判断していく必要があるというだけです。

そこで、正しい知識を身に着け、営業トークを真に受けることがない
ようにしましょう。

「信用既存しない物件です!」と言われても、

「ああ、あの銀行ならそりゃ信用毀損じゃないけどね…他は毀損と見るでしょ」

などとクールに判断していく必要があります。

税理士、不動産経営アドバイザー
税理士ですが、一都三県にて不動産経営を第2の本業として取り組んでいます。
不動産の最大の経費は税金ですが、税金だけ見ていても上手く行きません。徹底的な数値化と経験に基づき、個人・法人・銀行・追加取得・売却をトータルに判断するお手伝いをしています。

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