利回り星人の末路

不動産の表面利回りは不動産選択上非常に重要です。

当たり前ですよね。投資である以上、どのようにリターンが
あるかわからなければ目も当てられません。

しかしながら、利回りに目がくらんで失敗している人も
非常に多いです。

利回りだけを声高に要求する人を利回り星人などと揶揄したり
する人もいますが、揶揄されてしまうのも一理あります。

気をつけなければなりません。

利回り偏重により何が生じるか

投資利回りを過剰に重視することによって、以下のような投資パターンが
発生しているように思えます。

①とんでもない地方で物件を購入してしまう
②レントロールの妥当性に無頓着
③シェアハウスなどの飛び道具に飛びつく

それぞれ、どのような問題点が生じているのか、以下で整理してみます。

利回り偏重の問題点

①とんでもない地方で物件を購入してしまう

現在の市況では、表面利回り10%などを値段交渉なしに手に入れようと思うと、
首都圏、政令市などの都市圏ではとても買えません。

結果として、利回りが出る物件を求めて、どんどんと物件所在地を地方に求める
事になります。

この点特に留意が必要なのは、利回りは物件の難易度とトレードオフということです。

地方の物件の利回りが上がるのは、別に地方の大家が優しいからではありません。
地方の物件の運用難易度が高いこと、あるいは資産価値が低いことの裏返しです。

物件の運用難易度は地方の方が当然高くなります。
人口構成により、そもそも入居付けが難しいことは言うまでもありませんし、
特に1戸あたりの賃料が低いために、修繕コストが非常に重たくのしかかります。
また、ADも3~4ヶ月必要になるエリアもザラです。
これに加えて、大規模修繕を検討すると、地方物件の運営リスクは非常に高い利回り
がなければヘッジ不可能です。

また、地方に行くほど土地値が下がりますので、物件価格に占める土地の割合は
地方では大変低くなることが多いです。(特にRCで顕著)
これは結局売却時の値崩れを防ぐことが難しいことにほかならず、出口戦略の
難易度が上がるということです。

逆に言えば、これらの難易度を腕で克服できれば、大きな成果を得られるということ
でもあります。

しかし、その点を認識せず、表面利回りがそのまま得られると簡単に考えている
方が多いように思えます。

 

②レントロールの妥当性に無頓着

レントロール次第で利回りも上昇するのですが、このレントロールの検証がなされていない
ケースも多いです。

例えば5年前に入居した部屋が多いような場合、それらの部屋が退去すれば同じ家賃を維持
することは大変困難です。
この点を織り込むと、実はそれほど高利回りでもないことがままあります。

例えば、現在都市圏で目立つ新築の超狭小物件などは、超狭小の部屋を詰め込んでいるので、一見表面利回りは高くなります。
しかし、実際に募集してみるとレントロールの家賃では全く決まらず、引き渡し後半年
経過しても入居ゼロなんていう話もあります。
(都内新築で敷礼ゼロAD2ヶ月でも入居が決まらないという悲惨な話もあったり…)

こうなると、事前のレントロールなど偽装資料と大差ありません。

また、一部の業者では、レントロールの改ざんすら行われることがあります。

特に注意が必要なのが、販売業者の側で、1年間の家賃保証やサブリース契約を
行う場合です。
これらの存在により、購入時点のレントロールが相場よりも割高である点が見えにくくなる
ことがあります。(というか、それを意図していることもある気がします)
そして、家賃保証が終わったり、サブリースが解除になったタイミングで、家賃下落や
想定を超える空室に悩むケースをよく見ます。

レントロールが長期的に維持できないのであれば、表面利回りなど架空の産物です。

 

③ェアハウスなどの飛び道具に飛びつく

シェアハウスやホステルなど通常の居住物件でないものは、立地が良くても居住用より
利回りが高いことが多いです。

このため、立地を妥協しない代わりにこれらを購入する方もいます。

このような物件の困難さは以前記載したので詳述はしませんが、
これも利回りが高い理由は、運営リスクが高いからにほかなりません。

不動産投資はキャッシュフローが良ければ成功ではない

表面利回りを重視するということは、取りも直さず毎年のキャッシュフローを
重視しているということにほかなりません。

しかしながら、不動産投資における儲けは毎年のキャッシュフローだけではありません。
その他に、売却時のキャピタルゲインと、保有期間中の借入金元金返済の回収もあります。

いくら保有中にキャッシュフローが出たと言っても、売却時に大きなマイナスが発生
するのであれば、毎年のキャッシュフローなど何の意味もありません。
将来のマイナスを補填するために全て貯金しておく必要があります。
これは、儲けでもなんでもありません。
相手に100円渡した後に、90円もらって、喜んでいるようなものです。

そして、キャピタルゲインや元金返済の回収は、売却時の不動産の価格が重要
ですので、出口をいつどのように取るのかの検討も欠かせません。

不動産投資において、表面利回りはあくまで数ある指標の一つに過ぎません。
もちろん重要な指標ですが、表面利回りのみが重要なのではありません。

 

将来の計画と財務状態の検討をしっかりと行った上で、物件の購入をしたいものです。

税理士、不動産経営アドバイザー
税理士ですが、一都三県にて不動産経営を第2の本業として取り組んでいます。
不動産の最大の経費は税金ですが、税金だけ見ていても上手く行きません。徹底的な数値化と経験に基づき、個人・法人・銀行・追加取得・売却をトータルに判断するお手伝いをしています。

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