不動産投資が持つ4つの現物資産リスク

 

不動産投資をするとき、様々なリスクと向かい合うことになります。

特に、不動産の最初の一つを購入する前だと、リスクが怖くて先に進めないという人も多くいるようですね。

不動産投資は、たしかに多くのリスクを持つものです。
これは間違いありません。

今回から、不動産投資のリスクとその対処法について考えていきましょう。

不動産投資のリスクとは?

そもそも、不動産投資におけるリスクとは何でしょうか?

それは、「事前にこれくらい儲かりそうだ」と言う期待と、「実際にこれだけ儲かった」との違いをリスクといいます。

つまり、リスクとは事前の期待との乖離を言います。

事前に考えていたより実際のほうが儲かったというのであれば、特に文句はありません。

しかし、事前にこれだけ儲かると考えていたのに、実際にはそれほど儲からなかった、と言う自体は深刻です。

このような事態は極力回避したいものです。

つまり、事前に考えた収支からのブレを回避したいのです。(特に下へのブレ)

そして、リスクをなくすということは、事前にどのくらい儲かるか考えるときに、将来その儲けを上下させる要因をきっちり把握しておくということです。

それでは、将来の儲けを上下させる要因(リスク)と、その対処法を見ていきましょう。

不動産は現物で、移動できない

不動産投資とは、不動産を購入する投資です。

そうなると、まず不動産という現物の資産を保有することになります。

もちろん、現物の資産ですから、燃えたり、傷んだりするリスクがあるわけです。

また、不動産はその名の通り、場所を移動することができません。

購入したあとで、周辺の環境が悪くなっても、どこにも行けないのです。

こういった、不動産が移動不可能な現物資産であることによるリスクは、基本的に以下の4つであると考えます。

つまり、

  1. 天災リスク
  2. 火災リスク
  3. 遵法性リスク
  4. 周辺環境の変動リスク

この4つのリスクを一つずつ見ていきましょう。

天災リスク

天災リスクは日本ではたくさんあります。地震、台風、洪水などですね。

こういった、いつ発生するかもわからないが、一度発生すると甚大な被害を受けてしまうようなリスクに対しては、保険に加入することで対応することになります。

地震は地震保険で対応できますし、台風による建物への損害や洪水による浸水は、通常損害保険に加入することでカバーすることができます。

実際、近年日本では多くの災害が発生しており、台風で屋根が飛んだり、地震で躯体にヒビが入ったりという話もよく聞きます。
しかし、だいたいの方が保険金の支払を受け、十分その被害に対応できているようです。

まれに、地震保険に加入していない、という投資家の方と合うこともあります。
というのも、地震保険に加入すると保険料の支払が必要なので、そのお金を節約しているということのようです。

個人的には、地震は日本に住む以上いつでも起こり得て、かつ起こった場合の損害が極めて大きいですから、地震保険には加入しておくべきではないかと考えています。

火災リスク

もちろん、現物財産である不動産で一番恐ろしいのが火災による損失でしょう。

とくに木造アパートであれば全焼の可能性もありますし、鉄筋マンションであっても、躯体はコンクリートなので燃えませんが、部屋の内装や部屋の間の壁は可燃物であることも多く、外側だけ残して全焼ということも十分ありうる話なのです。

火災が発生してしまうと、通常人が住めなくなってしまいますから、賃料収入を目当てにしている不動産投資が成立しなくなりますね。

ただ、こういった火災によるリスクも、保険で備えることができるでしょう。

損害保険に加入することでカバーすることができます。

実は、実際に災害が起きた際に支払われる保険料は、投資家の判断により比較的柔軟に変動させることができます。

保険金は、保険会社の規定にそって建物の評価額に従って支払われるのですが、この建物の評価額は結構変動させることが出来るのです。

例えば、鉄筋マンションでしっかりしている作りならば、実際に天災や火災が起こっても建物への影響は大きく無いと考えられます。
こういった場合は、あえて建物の評価額を抑えることで、保険料の支払を抑えるという選択を取ることが可能です。

私自身、鉄筋コンクリート造のマンションはそれほど大きく火災保険をかけてはいませんが、築古の木造アパートについては、建物評価額をマックスで計算してもらい、最大限の火災保険に加入しています。

遵法性のリスク

建物自体の遵法性リスクというものも存在します。

違法物件であるリスク

建物には、建築基準法などによって、どのような建物を建ててよいのか、決まっています。

それを守っていない建物を、そうと知らずに購入してしまうと、大変な目にあいます。

まず、通常の金融機関では、建物の遵法性を重視しますから、たとえ入居者がいて賃料の受け取りが生じていても、物件の担保価値が無いと見るケースがほとんどです。

このあた、違法物件を購入してしまうと、いきなり債務超過となり、次の融資が非常に難しくなります。

また、売却しようにも、買い手に融資がつかないことがほとんどですから、売却できないか、またはかなり値下げしないと買い手がつかないという状況に追い込まれることになります。

ただ、このリスクは、「普通であれば」発生しません。

というのも、建物の遵法性については、物件を購入するときに、不動産仲介業者などが調査し、重要事項説明書において説明しなければならないからです。

このため、違法物件と知らずに購入してしまう、というリスクは、「普通であれば」ありません。

ただ、普通でない状況もまれにあるのです。

というのも、不動産仲介業者がしっかりした業者でないと、物件の調査をあまり行わずに売買仲介を行うことがあるのです。

この場合、通常の物件として売られているが、実は調べてみると違法物件だった、ということが実際にありえます。

私も、一度経験したのですが、通常の物件に買付を出し、売買契約と合わせて重要事項説明書の説明を受けている際に、どう見ても建ぺい率超過と思われたので、「この物件は違法物件では?」と質問したことがあります。

そう質問して初めて、仲介業者は「実はその可能性もある」という話をし始めました。

その時点で売買契約を中止し、遵法性を確認できてから改めて進めましょうという話となりました。

その後、結局その物件が遵法性を満たしていないということが判明し、取りやめとしました。

売買契約書を締結するタイミングで私が指摘しなければ、建ぺい率超過の違法物件を、適法物件として購入する羽目になっていたのです。

なぜこのようなことが起こったのかというと、その仲介業者は売主が持っていた重要事項説明書をコピペして、私への説明に使っていたので、役所などでの調査を行なっていませんでした。

そして、その物件は、売主は適法物件として購入していたのです!!

結果、その適法物件としての重説が私にまで引き継がれようとした、というわけですね。

これを避けるためには、自分が買おうとしている土地の建ぺい率や容積率から、その土地にはどのような建物が建てられるのか、を想像し、それとマッチしないのであれば、不動産会社にヒアリングをかけるということになります。

その時は、なぜこの物件が適法なのか、しっかりと法や条例に基づき、理解できるまで質問しましょう。

既存不適格となるリスク

購入時点では違法物件でなくても、その後の法律や条例の改正により、持っている間に、法律の要件を満たさない建物になってしまうというリスクもあります。

このような建物を、既存不適格物件といいます。

つまり、建てたときには合法だったのですが、いま時点では違法になっているというわけです。

これは、正直に言うと防ぎようがありませんね。

事後的にどのような法律や条例の改正が入るかはだれにも分かりません。

また、実際のところ、細かな既存不適格程度の物件であれば、適法物件として売られているし、金融機関も気にしていないというのが正直なところです。

容積率や建ぺい率といった重要な部分が変わってしまい、再建築不可になる場合もありますが、金融機関の評価としても、違法物件ほど厳しくはありません。

ただ、やはり通常の適法物件よりも値下げしないと、売れないことが多いようですね。

近隣環境の変動リスク

不動産は、特定の土地と建物への投資ですから、移動することができません。
当然ですよね、ですから「不動」産なのです。

そうなると、近隣環境がリスクになるという点が避けがたいです。

嫌悪施設が購入後にできるリスク

たとえば、周辺に嫌悪施設ができてしまう可能性もあります。

もちろん、嫌悪施設などは事前の調査で調べることができますが、購入後の環境変化はどうしようもありません。

正直、ここはリスクとして認識はしても、そのカバー手段が無いというのが正直なところではありますね。

ただ、正直嫌悪施設は実需向けの不動産に対しては価格下落影響を及ぼしますが、不動産投資に対してはそれほど大きな影響は無いと考えています。

というのも、周辺に嫌悪施設があっても、賃料次第で住む人は必ずいるからです。
また、そもそも賃貸物件はいつでも引っ越しができてしまうので、住む段階でそこまで細かく入居者は考えません。

そのあたりを考えると、もちろん程度次第ではありますが、周辺に嫌悪施設ができてしまっても、不動産の収益性にそこまで大きな影響は無いと考えています。

競合物件が購入後にできるリスク

意外とあり得るのが、周辺に大量に新築アパートが供給され、供給過多によって賃貸市場が崩壊してしまうようなケースです。

このリスクは、特に地方において注意しなければなりません。

実際、近年の融資緩和環境下において地方でアパートが増えすてしまい、賃貸需要を超える供給がされた結果、大幅に入居付けが厳しくなるという事例が散見されました。

私も、過去保有したことのある地方のアパートはこれで苦しめられました。

賃料相場は適正、賃貸仲介業者に払う広告費も適正、室内の設備も適正、でも1年間空室になる。
そういう状況が実際に生まれるのです。

こうなると、賃料を下げたからと言って決まるものでもありません。

単純に、部屋を探している人より部屋の数が多いという状況なので、賃貸相場が崩壊してしまったのですね。

これは、土地が余っているエリアでは特に気をつけねばなりません。

事前にそのような状況に陥っているエリアであれば、ある程度の市場調査で避けることができますが、自分が投資したあとに周囲にアパートが建ってしまうとどうしようもありません。

これを避けるためには、周囲の競争相手となるような物件がどの程度あるのか、定期的に観察することですね。

徐々に空室が決まらなくなる、そういう事になってくるのであれば、どこかで撤退を決断することも選択肢でしょう。

周辺の工場、学校の移転・閉鎖

これも地方の賃貸物件によくあるパターンなのですが、賃貸需要が特定の工場や学校に依存しているケースです。
例えば、相模原から青山学院大学が移転した際、大量の賃貸物件が余ってしまいました。

これは、周辺の賃貸物件の供給が増えなくても、需要、つまり賃貸物件に住む人が減ってしまうことにより発生します。

かつての企業城下町と言われたような都市はこのような状況にあることが多いですね。

このリスクを避けるためには、賃貸需要が特定の企業や学校などに集中しているエリアを避けるべきだという結論になります。
駅から遠く離れた大学近くにある単身向け物件は、その大学が移転したら借り手がいなくなってしまいます。

社会人も学生も、近くに通勤する人も遠くに通勤する人も、色々な賃貸需要が存在するエリアを選ぶ事によって、このリスクはかなりカバーすることが出来るでしょう。

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