不動産はおまかせ運用で本当に大丈夫? 大家としての腕を磨く必要

不動産投資でよく見るのが、「おまかせ運用」です。
物件の売買から管理運用まで、全て受託しますというシステムです。

使いようによっては便利なのですが、一方で無視できないデメリットもあります。

なんでもおまかせ、楽ちん不動産投資

よく見るのが、新築系ですね。新築物件を販売し、その管理も受託する。
入居付けも物件の修繕の手配も植栽剪定も、全てその業者が手配します。
概ね高い入居率を維持しているとのことです。
(本当かは知りませんが)

また、最近は大きな問題になってもいますが、大手不動産会社が提供している
サブリースというシステムであれば空室の有無に関わらず一定の収入が確保されます。

こうなれば、オーナーとしては本当に不労所得を得ているような気分に
なったりするかもしれません。
何せ、自分は何もしていないのに、口座に現金が振り込まれるのですから。

しかし、その状態は本当に大丈夫なのでしょうか?

不動産の経営能力が身につかない

不動産投資とは、実のところ不動産経営にほかなりません。

初めから不動産の経営をできる人はいないでしょう。
誰でも、物件を購入してから試行錯誤して腕を磨いていくのだと思います。

この修繕費は高いのではないか?入居がなかなか決まらないのは何が原因か?
解決のためにどのような手段を取りうるか。
管理会社に上手く動いてもらうためには何をしたら良いのか。

このようなことを、考え実行する中で、不動産の運営能力は上がっていく
のだと思います。

一方で、これがおまかせスタイルでいつまでも運営していくとどうでしょうか?

自分ですることが何一つ無いので、いつまでたっても経営能力が上がりません。
経営能力が無くても、おまかせで運営できればそれでいいじゃないかと思われる
かもしれません。

しかし、以下の状況を想定するとどうでしょうか?

(1)  その会社が倒産すればどうする?契約解除されたらどうする?

上手く運営できる会社におまかせできれば安泰どうする?といえるかというと、
そうでもないでしょう。
というのは、その会社が今後数十年に渡って存続するかわからないからです。

リーマンショックなどのシステマティックリスクが発生すれば、どうなるでしょうか?

本来、不動産は景気の変動にかかわらず、保有し続けるという道があるため、
通常の投資に比べ破綻リスクが小さいと考えられます。
個人投資家は、コベナンツ条項に縛られず、長期ローンを受けていることが多いので、
不況になって業者が倒産しても持ちこたえることは十分に可能です。

しかし、それも自分で物件を運営できてこそでしょう。

業者が倒産した場合、自分で運営できるスキルがなければ、自分もその会社と
心中する事になります。

また、おまかせにしている会社が契約解除するかもしれません。

実際、現在問題になっているサブリーズ問題も、オーナーに運営能力が
無いことを見越して、サブリース賃料の引き下げが強行されたために起こったものです。

「嫌ならいいですようちは出ていきますから」といわれたら、運営力のないオーナーは
折れるしか道がありません。
相手と交渉するテコを何一つ持っていないので、相手の言い分を受け入れ泣き寝入り
するしかありません。

(2)  その会社の信用はどの程度なのか?

結局のところ、不動産業界の中では有名な会社でも、世の中の大企業と比べると
それほど大きな会社ではありません。

そのような会社の株式や社債を、買えるとして皆様は購入するでしょうか?
正直わたしなら買いません。

しかし、そのような会社の提供するおまかせサービスは無条件で受け入れる方をよく見ます。
サブリーズ契約をして、「これで空室になっても安心だすごいだろう」という自慢話
を知人から聞いたのは最近の話です。

これは、新興市場のよくわからない株式に全財産を投資する行為と同じように
思われるのですが、どうでしょうか?

現在の安心を買って、将来に不安の種をまいているのではないか…私はそう思います。

初めはおまかせでも、自分でできる範囲を広げる

不動産投資が経営だといっても、いきなり全てを自分でするのが現実的ではありません。

おすすめは、少しづつ自分でできることを増やしていくことです。

賃貸付けの仲介に自分で行ってみる、原状回復時にコンセントカバーくらいは
自分で交換してみる、銀行に自分で行ってみて、自分の状況が銀行にどう見えているのか
確認する、不動産売買の仲介で物件を探してみる、

このように、実は自分でできることは、やろうと思えば、色々出てくるものです。

ここで、やったことが無いことをやるのは、結構心理的負担が大きいものです。
しかし、いつまでもおまかせであれば永遠に経営能力は上がりません。

これでは、いざ鎌倉となればどうしようもないのです。

少しずつで良いので、自分でできることを増やしてゆきましょう。

それでこそ、あらゆる状況を乗り切れる強い不動産投資家になる方法だと思います。

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