減価償却費と資産価値のバランスに着目しましょう

デットクロスとの関係で減価償却を考えると、
減価償却費は大きければ大きいほど良いといえます。
しかし、減価償却費が影響を及ぼすもう一つの側面に着目しなければ、
意図しない投資成果となりかねません。

減価償却をすると、資産と純資産が減少する

減価償却は財務諸表にどのような影響をおよぼすのか。

物件購入直後の財務諸表が以下の様であったとします。

これに、減価償却を計上すると、以下の様に変化します。

変化の会った点は、損益計算書に減価償却費が2,963計上されています。

それにともなって、資産が107,000から104,037に減少しています。

減価償却費分資産が減少しているのです。

そして、純資産の部で繰越利益剰余金が減価償却費分減少しています。

 

デットクロスや税金を考える際は損益計算上の減価償却費のみに
着目しがちですが、実は資産と純資産にも影響をあたえるので、
この点を見逃すと意図しない結果になりかねません。

元金返済と減価償却とのバランス次第では、
恒久的な債務超過に

だからなんだよと思われたあなたには、純資産は資産-負債で計算する
ことを思い出してほしいのです。

資産は減価償却で上記のとおり減少してしまいます。

では負債の減少が資産の減少より遅ければどうなるでしょうか。

 

1億円表面利回9%、経費率30%、土地建物割合80%、借入期間30年、
金利4.5%であったと仮定し、資産と負債のバランスがどのように
推移するか見てみましょう。

購入後20年間の、税後CFと残債、資産の推移を示しています。

毎年の税後キャッシュフローはプラスですので、
デットクロスを起こしていません。

しかし、この例ですと、物件購入以降、常に残債が資産額を上回っています。

つまり、常に債務超過状態になっているのです。

減価償却による資産の減少が、元金返済による負債の減少を上回っています。
このため、債務超過が常に解消されないのです。

確かに、キャッシュフローは確保できています。

しかしながら、20年間常に債務超過なのです。

この状態で、果たして銀行はどのように見るでしょうか。
減価償却が原因とは言え、常に債務超過で、これを解消する目途も立ちません。

個人属性に依存したアパートローンなら問題ないかもしれませんが、
プロパーローンを受けることは難しいでしょう。

減価償却も投資の目的により使い分ける

減価償却は、とにかく大きくすればいいと言うものでもありません。

保有する物件の状況やタイプ、実現したい財務状態からの逆算も
必要なのです。

個人属性に依拠して1、2棟購入すれば終わりであれば、
決算書の見え方など無視して問題ないでしょう。

しかし、プロパーローンを使用し更に規模を拡大するためには、
どのような決算書が銀行に望まれるのか、その検討が不可欠です。

 

「デットクロスを避ける」「納税額を圧縮する」だけでなく、総合的な
影響判断が必要です。

税理士、不動産経営アドバイザー
税理士ですが、一都三県にて不動産経営を第2の本業として取り組んでいます。
不動産の最大の経費は税金ですが、税金だけ見ていても上手く行きません。徹底的な数値化と経験に基づき、個人・法人・銀行・追加取得・売却をトータルに判断するお手伝いをしています。

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