資産価値を取るのか、利回りを取るのか

不動産投資をするにあたっては、超大雑把に分けて、2つの道があります。

それは、資産価値を重視するのか、利回りを重視するのかです。

資産価値重視の投資

資産価値重視の投資は、主に土地の資産価値に着目して物件を選定します。

土地の資産価値は、積算価格ではなく実勢価格です。
地方では、何の価値も無い土地でも積算が出たりしますので。

都内や一都三県、政令市の好立地などの、土地の価値が高い物件を選んでいきます。

この投資方法のメリットは、何と言っても出口のとりやすさです。

実勢ベースで土地値の出ている物件は、それ以上の値段に下がってしまうことを
なかなか想定できません。
(もちろん、バブル崩壊・リーマンショックのようなシステマティックリスクは
別ですが)

このため、数年間保有し、安定的に運営した後、買った値段と同程度で
売却できれば、返済した元金をガッツリ回収することができます。
元金返済がきちんと資産として蓄積される可能性が高いです。

一方で、無視し難いデメリットは、利回りが低くなってしまうということでしょう。

資産価値の高い物件は、利回りが低いのは宿命のようなものです。
皆さんが出口を取る際に価格が下がりにくいということは、
現状の売主もきちんとした値段で売却できるということです。

よほど売り急いだか、売主も仲介も知識がなかったか、そのような異常事態
がない限り、それほど安く買うことはできません。

結果、現時点で手元資金がなく、早急に現金を蓄積したいような投資家には
難しい点があることは否めないでしょう。

利回り重視の投資

利回り重視の投資は、とにかく利回りにこだわる投資です。

利回りの非常に高い物件を購入し、これを根性で低コスト高稼働させ、
多くのキャシュを手に入れるのです。

このような物件は、首都圏の相当郊外や地方で購入することになります。
また、首都圏の違法物件もこれに該当するでしょう。

高利回りの物件を上手く稼働させることができれば、多くのキャシュを
手に入れることができます。
資産価値物件が、売却時にキャッシュを獲得する手法なのに対し、
利回り物件は毎年キャッシュを獲得できますので、手許現金が厚くない
投資家にはこの方が有利かもしれません。

このように、高利回り物件で手許現金を厚くしつつ、回収したキャシュを
頭金に更に物件んを増やしていくというのが王道でしょう。

ただ、利回り重視物件を購入する際には、注意点が2つあります。

一つ目は、経費率が高くなりがちな点です。

地方の物件は、家賃が低いです。下手をすると、20㎡の1Rだと
2万円を切っているような物件もザラですね。
50㎡の3DKでも5万円になかなか届きません。

しかしながら、修繕費は首都圏や地方にかかわらず同額かかります。

首都圏で7万円の部屋と、地方で3万円の部屋、どちらも修繕費は20万円です。
首都圏は3ヶ月で回収できますが、地方だと半年以上かかります。
このため、地方物件の運用には自らDIYリフォームするなどのコスト低減
努力が欠かせません。

募集時も、首都圏ならAD1でいいところ、地方ならAD3も結構あります。

また見逃せないのが固定資産税です。

地方の物件の固定資産税は高いです。これは、首都圏より地方の方が相対的に
大きな建物を買えるということが主な原因です。

同じ2億円でも、首都圏と地方では買える物件の大きさが違います。

地方の方が大きいです。

固定資産税は、建物の積算で課税しますので、首都圏だろうが地方だろうが、
建物が大きくなれば高くなるのです。

二つ目は、出口が見えづらく、元金返済を貯金と見れない点です。

資産価値がないため、出口での売却価格は建物の劣化や家賃の下落に従って
下落していきます。
このような場合、元金返済部分を売却時に回収できる望みを持ちにくいです。

結果、元金返済による純資産改善はあまり意味を持たず、ひたすら毎年の
キャッシュフローを厚くして投資を回収せねばなりません。

多くのデメリットを持つ高利回り物件ですが、手元現金を厚くできるという
値千金のメリットがあります。

どちらが正解というわけではなく、どちらもメリットとデメリットを持つのです。

利回り重視は厳しい環境か

近年、地方の物件も値段が高騰しているように感じます。

札幌でも利回り9%は珍しいですし、政令市でもない本当の地方でも
10%そこいらで物件を売っています。

正直、元金返済分を含み益とカウントできないこのような物件で、
果たして利回り10%で投資の回収をできるのでしょうか?

高利回り物件の本尊である、手許現金の蓄積という目的を果たせなくなって
いるのではないでしょうか?

現在の相場を断面としてみると、資産価値重視の投資の方が旨味が
あるのではないかと感じている状況です。

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