安くなっても買えないのでは意味がない 融資の観点

不動産が高くて買えないというのは、よく聞く話です。

私自身、今の不動産は少し高いなとは思います。
なかなか十分な儲けが出る水準にある物件はありません。

一方で、相場が下がったら買えるという訳でもありません。

不動産の相場は銀行がつくる

不動産にも、相場の変動があります。

バブル崩壊後やリーマンショック後に不動産が尋常でなく下落したこともありました。
また、ここ数年で不動産の相場が急上昇していることは皆さんもご存知でしょう。

この相場変動は、何が要因なのでしょうか?

株式や債券であれば、長期的には企業の業績の変動や、景気の動向により変動しますが、
短期的には需給のバランスで決まります。
買う人が多ければ上昇するし、売る人が多ければ下落します。

一方、不動産はどうでしょうか?

もちろん不動産にも買いたい人と売りたい人がいますが、彼らは相場の形成に
あまり参画していない様に思います。

不動産の相場を形成するプレーヤーは、ずばり銀行です。

なぜならば、不動産を買いたい人は、銀行から融資を受けなければ買えないからです。
買いたい人は、銀行が融資をするという関門を超えて初めて、買える人になれるのです。
つまり、銀行が融資をしなければ、そもそも買える人がいなくなります。

一方、売る方は自由ですので、銀行が融資しない場合、売り手はいるが、
買い手がいないという状況が生まれます。

こうなれば、相場は下がるしかありません。

このため、買いたい人を買える人にする銀行の融資動向が最も重要なのです。

不動産の価格が下がるとはどういうことか

それでは、不動産の相場価格が下がるとは、どういうことなのでしょうか?
それは、結局銀行が不動産に融資をしていないということです。
それ以外に、不動産相場が下がることは無いでしょう。

銀行が不動産に融資をしなくなれば、不動産は安くなります。

ここに、不動産を買いたい人にとっての大きなジレンマが存在します。

つまり、不動産が安くなったと喜んだのもつかの間、銀行が融資をしないので、
安くなった不動産を買えないのです。

リーマンショック後には、都心で利回り10%を超えるような物件が多数あったそうです。
ただ、銀行が融資を完全にストップしていたので、誰も買えなかったのです。

銀行に融資を受けやすい状況は、不動産投資を始める大きなチャンスです。
何と言っても、融資が出なければ不動産を購入することができません。

一方、融資が出やすくなると、買える人が増えるので、不動産の価格は必然的に上昇します。

結果、高くて買えなくなったというような状況が生まれてしまいます。

結局、どうしたら良いのでしょうか?

不動産の価格が下がったときに買うためには?

不動産価格が下落した時は、融資が引き締められている時です。
融資を引き締めると、貸出時の審査が厳しくなるということですね。

銀行は、融資先を債権者格付けという形で定性的・定量的に評価し、細かく区分しています。
融資が厳しくなると、この格付けの低い顧客への融資が絞られます。

一方で、格付けの高い顧客への融資は、条件が若干悪化することはありますが、行われます。
(もちろん、リーマンショックのようなシステマチックリスクが生じた場合は
全ストップですが)

融資がゆるくなると、格付けの低い顧客にも融資が出るようになるということです。
昨今、サラリーマン大家さんにも多くの融資が出ていました。
これは、かなり融資の基準が緩んでいたことの証左です。

ということであれば、不動産価格が下がったタイミングで物件を購入できる人は、
銀行格付けの高い人なのです。

このため、常に銀行の格付けを高くする努力が欠かせません。

それは、物件を高稼働させ、きちんと利益を出して納税し、借入金を返済し、
自己資本を厚くしていくことです。
それ以外の抜け道はありません。

近年事業規模で不動産を購入する方が増えましたが、これは数年前に購入した
不動産を相場上昇局面で売却し、財務状態を劇的に改善した方が多かったためです。

このように、既に物件を持っている人は、時間をかけて決算書を磨いていくことで、
優良事業者に近づくことができます。

こうなれば、どのようなタイミングでも不動産を購入出来るようになるかもしれません。

一方、今から不動産を買おうとしている人はどうでしょうか?

この場合、正直融資が引き締まった状態で購入は結構難しい様に思います。
なにせ銀行が見るべき実績も決算書もまだ無いのですから、銀行は非常に
融資しにくいでしょう。
特に、融資基準が厳しくなっているタイミングでは。

このため、完全な新規参入者が、相場の下落により安くなった物件を購入することは、
あまり現実的な想定ではないように思えます。

初心者が最初に物件を購入するのは、融資の基準が緩み、不動産価格が上昇している
タイミングしか無いのでは無いでしょうか。

この相場の中で、できるだけ安く良い物件を取得する。それが近道でしょう。
物件を取得すれば、その物件で決算書を作り込んでいくことができます。

もちろん、現金で戸建てを増やしていくように、融資を使わない投資スタイルであれば、
銀行に左右されることはありません。

しかし、数千万円の物件を購入しようとすると、通常融資が欠かせません。
融資が絞られたタイミングで融資を受けられる人は、それなりに努力し実績を挙げた人です。

税理士、不動産経営アドバイザー
税理士ですが、一都三県にて不動産経営を第2の本業として取り組んでいます。
不動産の最大の経費は税金ですが、税金だけ見ていても上手く行きません。徹底的な数値化と経験に基づき、個人・法人・銀行・追加取得・売却をトータルに判断するお手伝いをしています。

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