土地建物の金額にこだわるのはいつか?

不動産を購入する際に、土地建物の金額をどのように設定するかは、
保有期間中の減価償却費に影響するため重要です。

一方で、状況によっては、別にこだわる必要がないケースもありますし、
ぜひともこだわりたいケースもあります。

どのような状況であれば、土地建物金額にこだわった方が良いのか、
あるいはこだわらなくてよい状況とはどのようなものか、考えてみましょう。

土地建物金額の決め方の考え方は、以下の記事にまとめていますのでご参照ください。

シリーズ:土地建物割合を考える
第1回:不動産の土地建物の金額を考えていますか?
第2回:はじめに売買契約書ありき~土地建物の金額の決め方①
第3回:売買契約書が税務署に否認される?~土地建物の金額の決め方②
第4回:売買契約書に土地建物をまとめて記載した場合~土地建物の金額の決め方③

土地建物の金額にこだわったほうが良いケース

土地建物の金額にこだわりたい、つまり建物の金額を大きくしたいという
のは、直近でキャッシュフローを最大化しなければならない場合です。

大前提として、減価償却をすると簿価が切り下がるので売却時に多額の
納税が必要になります。
今年税金が出なくても、売却時に払うか、または減価償却が終わったあとに
払うかの違いでしかありません。

そのため、建物の金額を大きくする、つまり減価償却費を大きく取りたい
というのは、まさに今、今年のキャッシュフローを最大化したいという
ことになります。

そのようなケースは、以下のような場合が考えられます。

投資1棟目でキャッシュフローを取りたい

いまから1棟目を購入し、その物件からのキャッシュフローを2棟目の
頭金にしたい、またはそのキャッシュフローを繰り上げ返済にあて、
早期に無借金状態にするということを企図する場合、手元資金を厚くする
必要があるでしょう。

この場合、減価償却は結局最後に税金を払うだけだなどと悠長なことは
言っていられないでしょう。

まさに今年や来年のキャッシュフローを最大化する必要があるのです。

このような場合、土地建物の金額を交渉することになるでしょう。

既に保有している物件が土地の金額が大きく、キャッシュフローを取れない、あるいはデッドクロスになっている

既に物件を保有しているが、その物件が土地割合が非常に高く、現時点において
税引き後のキャッシュフローがいまいち残らない状態の場合があります。

このとき、税引き後の手残りを厚くするために建物割合を考えるべきでしょう。
また、すでに保有している土地値物件と組み合わせることで、財務状態と
キャッシュフローのバランスも非常に良くなると思われます。

既に保有している物件で減価償却を短期間でとりすぎ、期間切れでいきなり
デッドクロスとなり、キャッシュフローがマイナスになってしまっている場合もあります。

このような場合においても、次に取得する物件はキャッシュフローが出るものを
購入したいところですね。
すでにデットクロスに、次に土地値物件を取得するのはちょっと悪手かと思います。

高額所得者で、減価償却で節税したい

高額所得者が個人で物件を保有し、所得税対策に物件を保有する場合は、
通常売却するのが長期譲渡となったタイミングですよね。

このため、建物の金額を大きくし、一気に減価償却費を計上して長期譲渡
になったタイミングで売却するのが最も合理的です。

逆にこの場合、土地割合の高い物件を購入する旨味はほとんどありません。

高額所得者の所得税節税については、以下の記事もご参照ください。
不動産による所得圧縮 その効果とは?
不動産による所得圧縮 注意が必要な点
所得税の還付に不動産を利用した減価償却が有効な理由

土地建物の金額にあまりこだわる必要がないケース

土地建物の金額にこだわらなくて良いケースとは、すぐにキャッシュフローを
得る必要がない、つまり資金が売却時に顕在化するまで待つことができる
という場合です。

結果的に、「直近ではお金に困っていない」ようなケースになります。

既に保有している物件でキャッシュフローを得ている

既に保有している物件が、潤沢な税引後キャッシュフローを稼ぎ出して
いる場合には、次に購入する物件が土地割合の高い物件でもなんら問題は
ないでしょう。

このような場合、おそらくすでに保有している物件は土地割合が低いか、
償却が早く進んでいることも多いと思われますので、新たな物件は土地の
割合が高いとむしろバランスが良いかもしれませんね。

手持ち現金が一定以上ある、資産性の高い物件を預金代わりに保有する

すでに手持ち現金が一定以上ある場合、つまりすぐにキャッシュフローを
得る必要がない場合も、建物割合に拘る必要はありません。

手持ち資金があったりする場合には、あえて不動産でキャッシュフローを
狙っていくというよりも、元金返済の含み益狙いで不動産を保有する
場合も多く、あえてキャッシュフローを必要とはしないでしょう。

法人で購入するが、それほど長期間保有する予定がない

法人で保有する場合、基本的に保有期間中と売却時で税率が変わらないか、
もしくは売却時の税率のほうが高い可能性もあります。

このような場合、減価償却をあまり多くとってしまうと、むしろ売却時の
納税負担が増加してしまいかねません。

長期間保有する想定なのであれば、減価償却を取って資金繰りを改善する
ことにもメリットがあります。

一方で、例えば数年後の売却などを見据えている場合は、むしろ建物割合は
低いほうが良いかもしれません。
短期間であれば、減価償却が資金繰りに与える影響も無視できる程度です。

このため、法人で購入し、短期間での転売を目指す場合は、土地建物割合の
調整はむしろ不要でしょう。

このあたりが、宅建業者さんが不動産を購入する際に、土地建物金額に
こだわらない理由かなと思ったりします。

事前のシミュレーションが欠かせない

このように、土地建物の金額をどのようにするのかは、率直に言って今の
状況に大きく左右されるところです。

常に土地建物の金額にこだわる必要はありません。

土地建物の金額をどうするかということは、どのようにキャッシュフローを
実現していくかということを考えることが不可欠です。

このために、事前に必ずシミュレーションを行い、今の状況ではどのような
土地建物金額が良いのか検討することが欠かせないでしょう。

何故かと言うと、土地建物の金額の決定は、売買契約書の締結か、物件取得後
最初の申告のタイミングでしか行えないからです。

このタイミングを逃すと、あとで修正できませんので、後で考えるとベスト
な選択ではなかったと分かったところでまさに後の祭りです。

事前のシミュレーションと検討が必須であると是非ご認識ください。

税理士、不動産経営アドバイザー
税理士ですが、一都三県にて不動産経営を第2の本業として取り組んでいます。
不動産の最大の経費は税金ですが、税金だけ見ていても上手く行きません。徹底的な数値化と経験に基づき、個人・法人・銀行・追加取得・売却をトータルに判断するお手伝いをしています。

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