ふるさと納税の些細だが重要な問題点

最近過熱気味でニュースにも取り上げられるふるさと納税

支払ったお金が戻ってくるだけなので、純粋な節税とは言えませんが、
返礼品が手元に届くので、非常にお得感が強いです。

私も毎年上限までふるさと納税していますが、一点だけ不満があるのです。

ふるさと納税の概要

みなさんご存知だとは思いますが、ふるさと納税は、地方自治体に対する一種の寄付です。
それに対するお返しとして返礼品があること、及び、限度内であれば寄付額が2,000円
を除き全額還付されることになります。

このため、結果として返礼品のみが手元に残ることになるので、その分お得というわけです。

このため、ふるさと納税は、その寄付額のほぼ全額が還付されて実質負担が無いという
点が非常に魅力的なわけです。

一方で、その還付方法がなかなか独特ですので、ちょっと注意が必要です。

資金の還流方法が独特

ふるさと納税の還付は、半分が所得税の還付として、半分が住民税の減額という
方式で行われます。

まず平成29年の3月に100万円のふるさと納税をしたとして、それがどのように
回収されるのか考えてみましょう。

まず、平成30年の3月に所得税の還付が行われます。
このタイミングで50万円回収できます。

残りの50万円は、平成30年6月からの住民税が1年間減額されることにより
回収されます。

つまり、平成30年6月から翌平成31年5月にかけて、50万円÷12≒42,000円
毎月住民税の支払いが減少するのです。

多くの方は住民税を職場が源泉徴収していると思いますので、毎月の
手残りが42,000円増加するというわけですね。

結果として、住民税分の50万円を完全に回収するのは、平成31年5月
という事になります。

ここでわかることは、寄付金の支出が平成29年3月としたら、その寄付金の
全額を回収できるのは、平成31年5月になるということです。

支出から回収まで2年超かかってしまうというわけですね。

このように、支出から回収まで非常に長期間を要するという点が、
ふるさと納税の非常に大きな問題点です。

この期間を短縮するためには、寄付を行うのをできるだけ年末にすること
でしょうか。
支出が平成29年12月であれば、回収までの期間は1年6ヶ月になります。

とはいえ、住民税が「還付」ではなく、「減額」を採用しているため、
どうしても回収は1年間超かかってしまうことになります。

やる価値は十分にあるが、資金繰りには注意

とはいいつつも、ふるさと納税はお得なので可能なら是非やるべきです。

しかし、上記のような回収期間が長期に及ぶ制度ですので、手元資金との兼ね合い
を常に考慮しなければなりません。

もともと貯金額の少ない人は、ふるさと納税をやりすぎると足元も資金が枯渇し、
意外とお金がないような状況になる場合があります。
最近お金がなぜか無くなってしまったけど、なぜだろう?というような場合、
意外とふるさと納税をしすぎて手許現金が無くなっているせいだったりします。

貯金を取り崩してふるさと納税をする人もいますが、それが合理的かは正直
悩ましいところです。

また、その現金を回復させるには、長い期間がかかってしまうのです。

直近である程度の資金需要が見込まれる場合は、いくらお得といっても
ふるさと納税は控えるべきでしょう。

ふるさと納税は一見メリットしか無い制度ですが、このような回収期間という
デメリットがありますので、実施する際には少し慎重になっても良いかもしれません。

 

© 2024 和田晃輔税理士事務所